こんにちは、たき子です。
草彅剛主演の舞台「アルトゥロ・ウイの興隆」を観にロームシアター京都へいってきました。
ギャングとヒトラーをシンクロ
ショー仕立ての音楽劇アルトゥロ・ウイの興隆の原作者はベルトルト・ブレヒト。
禁酒法時代にシカゴで暗躍し勢力を拡大していったアル・カポネにヒトラーとの共通点を見つけ1941年に戯曲の執筆に着手。1958年にドイツで上演されたほか、日本でも1969年に田中邦衛主演で上演された。
ヒトラー率いるナチスがあらゆる手段を使い独裁者として上り詰めていく過程を、シカゴのギャングの世界に置き換えて描いているの。
俳優としての草彅ファン
たき子はSMAPファンだったわけじゃない。
だけど、俳優としての草彅剛ファンってとこかな。
1999年、蒲田行進曲の舞台を観に行ったことがあるの。
その時のヤス役が草彅剛だった。
つかこうへいのファンだから舞台はほとんど観ていたんだけど、草彅剛に関しては全く期待してなかったのよ。
だけど見事に裏切られたわ。
アイドルにつかこうへいの舞台が演れるの?なんて思っていたたき子はド阿呆だった。
偏執狂と言っても過言ではないヤスの狂気を身体中で表現してて、何分続くんだろうと思う長台詞を吐き出すようにまくしたてて。
それ以来、もう一度草彅剛の舞台を観たいと思い続けてやっとこの日がやってきたってわけ。
ロームシアター京都へ
京大近くにあるロームシアター京都。
京大の入学式はここで行われるらしい。
チケットは売出し日の発売時間を待ち構えて購入した1階S席。
ロビーには動き回る広告がルンバみたいにチョロチョロ徘徊していた。
ここからはいよいよメインホール入口。
客層は20〜70代で年齢はバラバラ。9割は女性かな。
渾然一体となった熱量に圧倒
ナレーションの巧妙さ、歌声、オーサカ=モノレールの生演奏、悩ましげに踊るダンサーの女達、白井晃のシニカルな演出。
アルトゥロ・ウイがのし上がっていくストーリーは説明的な部分が多く、しかもナチスとシンクロさせているため分かりづらい。
さらに生々しさを避けるためギャングの取り引きの品を野菜に置き換えている点でも多少の違和感かは否めない。
だけど、そんなの凌駕するほど役者の、音楽の、ダンスの、その全てが渾然一体となった熱量に圧倒される。
それを生み出している一番の立役者が他ならぬ草彅剛。
蒲田行進曲のヤス以来、観たかった草彅剛の凶気を堪能し帰路についた。
2日後また京都へ
そしてその2日後のクリスマス。
たき子はまた曇天の下、京都にいた。
一昨日の舞台を見終えてすぐ、その場でスマホで追加売出しされていたチケットを取ったの。
1階前の方の座席
今回のチケットは注釈付S席。
一部見えづらい時があると書かれているけど。。。引き換えてみると前から9列目!
意気込んで発売初日にゲットした一昨日の席より遥かに舞台に近く臨場感抜群だった。
今回はオペラグラスも持参。
草彅が度々見せる髪を撫でつける仕草は演出上のスタイルだけではなく吹き出す汗を拭う仕草でもあったのだと気づく。
ほぼ出ずっぱりの草彅は舞台上で何本も水分補給していたことからも相当の運動量だってことがわかるわ。
お下品な振り付けが交じるキレッキレのダンスに魅了されずにはいられない。
最高のクリスマスプレゼント
ダンスの時に度々見せた舌を出すおどけた表情はいかさま師のような一面を表現しているのだろう。ヒトラーの狂気はもちろん、それだけではないもろさ、あやうさ、臆病な面などなど様々な顔を見せてくれた。
終盤、気づくとたき子の座席の横にある出入り口から草彅が出てきて、走り去る彼のマントが起こした風がたき子の髪をゆらした。
そして狂気は客席を巻き込む大きなうねりとなり終演。
カーテンコールで見せる草彅剛の、はにかんだような柔和すぎる笑顔がどれだけ舞台で張りつめていかを物語るようだった。
気がつくと手が痛くなるほど拍手をしていた。
終わってしまうことが苦しくてしばし放心。
最高のクリスマスプレゼントをもらった気分。
反面、帰り道は既にロスに陥っていたの。
舞台アルトゥロ・ウイの興隆は神奈川公演、京都公演を終え年明けにはラストの東京公演を残すのみ。
最後まで無事に走りきってほしいなあ!
まさかの三度目!?
ちなみに今回は京都日程の終盤、具体的には千秋楽の3日前と1日前にチケットを取ったのだけど、早めの日程に行かなくて良かったと思っている。
もし早めに行ってたら仕事も家事もさぼって何度通っていたか自信がない。。。
実を言うと、もう少しで三度目となる千秋楽の舞台を見に行くところだったのよ。
ツイッターでアルトゥロ・ウイ“ロス”を嘆いたら、見知らぬ人から明日の千秋楽のチケットがあるけど譲りますよとお声をかけていただいたの。
かなり心がぐらついたけど。。。たき子がニ度目に観た座席よりかなり後ろみたいだったのでやめておいた。
近くで見ることができた余韻を抱いたまま、またいつか舞台で草彅剛に会える日を、またこんな舞台に出会えることを願っていようと思ったの。
アルトゥロ・ウイの興隆は、草彅剛が自身の集大成と言うだけある本当に素晴らしい舞台だった。
稀代の天才演出家つかこうへいに天才と言わしめた元アイドルはやはり稀代の天才エンターテイナーだったわ。